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研究プロジェクト

平成15年度共同研究テーマ
ユーザビリティ評価・適用研究
澁谷 邦男 情報の環境化のなかで
ユーザビリティ・デザインに挑む
澁谷 邦男
札幌市立高等専門学校校長
情報の環境化の時代に
 ユーザビリティは、ITの商品開発、そのデザイン分野において注目のテーマとなっている。しかしこれまで、ユーザビリティは製品の使い勝手や操作性などを評価するものと誤解されることが多かったが、近年開発プロセス全体にわたるものという考え方が理解を得てきた。
 「高度情報化社会の現代では、情報機器は単体で存在するものではなく、複数の情報機器が人間を取り囲むように存在しています。日常生活のあらゆる場面で、私たちはさまざまな情報機器の間を移動し、操作しているわけで、これは“情報の環境化”と言ってもいい」と語るのは、本研究プロジェクトの研究代表である札幌市立高等専門学校校長の澁谷邦男氏。
 長年インダストリアルデザインに携わってきた澁谷校長は、「情報の環境化」の時代のなかで、これからの情報機器は社会生活の中でのあり方を考えなければならず、そのユーザビリティは製品開発のコンセプトに深く関わる問題だと強調する。

ユーザビリティ設計プロセスの構築と支援ツール開発
 そのため本「ユーザビリティ評価・適用の研究」プロジェクトでは、デザインとユーザビリティの関係を、製品のコンセプトづくりの段階(上流)、コンセプトをスペックに落とし込む段階(中流)、試作・製品化の段階(下流)の3つのステージに分け、上流工程では、ユーザの生活シーンなどを分析する際の情報の取り方、記録・分析の仕方など、中流工程では実際の解析に活用できる汎用ツールのプロトタイプ製作など、それぞれのステージでのユーザビリティ手法の研究開発に取り組んでいる。
 研究の具体的テーマのなかでも大きな位置をしめているのが、ユーザビリティ設計プロセスの研究、構築である。「ユーザビリティに優れた魅力的な情報機器を生み出すためには、どのような設計プロセスが有効なのか」という問いのもと、15年度は、人間中心設計(ヒューマンセンタードデザイン)と呼ばれる手法や、ISO13407規格、アイマークレコーダによる視線情報などの研究を行っている。またユーザビリティ設計プロセス支援ツールの開発というテーマでは、HDT(ヒューマンデザインテクノロジー)手法を発展させた支援ツールの開発とアプリケーション化を検討している。

現場から発想する情報機器のあり方
 本プロジェクトで札幌市立高専が中心となって進めている介護・福祉分野のユーザビリティ研究(C-4)では、従来の医療機器開発にはない新しい視点からのアプローチを試みている。病気を治療する、あるいは介護する側の負担を軽くするという観点から開発するのではなく、患者や被介護者のクオリティ・オブ・ライフ(QoL)の向上を目指した開発である。
 「妻の介護をした経験から、ターミナルケアなどを受けている末期の患者は、治療とともに、残された時間をいかに人間らしく豊かに暮らすことが重要か、と気づきました。しかし、そのニーズに応える介護機器はほとんどない。私たちは、患者や高齢者の立場に立ち、そこに潜在しているニーズを引きだすことで、介護・福祉分野における新しい情報機器のあり方を提案していきたい」
 現場を知らなければ新しいアイデアは生まれないと澁谷校長はいう。新しいものを切り開くというのは、参考にできる前例がないということ。問題を解決するヒントを得るには、できるだけ長く現場を観察し、そこからさまざまな情報を探り当てるしかない。それは、「現場を知らなければ真のユーザビリティを理解することはできない」と言い換えることもできるのではないだろうか。
■研究課題 C-1
実践的ユーザビリティ設計プロセスとこれを支援するモデル・プロトタイプを活用したユーザー分析/ユーザビリティ設計・評価・ツールの開発
■研究目的 ユーザビリティに優れ、魅力的な情報機器を設計するうえで必要とされるユーザー分析やユーザビリティ設計・評価に有効な手法・ツール、これらを組み込んだユーザビリティ設計プロセスを提案する。設計案のユーザビリティ評価手法だけでなく、開発の上流から下流までの各段階に応じた効果的なユーザビリティ向上を目指したプロセス実施するため、今年度から研究テーマを一部変更した。
■参画機関 北海道立工業試験場
■研究課題 C-2
ソフトウェアプロトタイプとハードウェアモックアップの併用、および実機を使用したユーザーテストの実施による有効な評価手法の特定
■研究目的 産業界のニーズに合った実用的な設計・評価の手法・ツールの開発。効率良く、実践的に活用できるものであることを目指す。
■参画機関 公立はこだて未来大学
■研究課題 C-3
他の研究グループとの連携による具体的な情報機器に対する評価手法の有効性の研究
※他の研究グループとの連携環境が整っていないため、この研究課題は次年度以降に持ち越す
■研究課題 C-4
福祉情報機器およびそれに連動する家庭内各種機器に関するデザイン提案、プロダクトアウト、およびユーザビリティ検証の実施
■研究目的 自宅での総合バリアフリー生活環境の実現を最終目標として、家庭内の各種機器、装置、部品と(情報家電用)ホームサーバの開発に取り組む。また福祉機器をネットワークで結び、身体的弱者などが自ら操作できるような福祉情報機器のデザイン提案を試みる。
■研究内容  在宅ケアを受けている身体的弱者が仰向け姿勢で情報機器を操作することを前提として、身体的弱者向け情報機器の現状を調査し、情報機器がどのようなシーンで使用されるのが最も適切かを分析した。また、仰向け姿勢で情報機器を操作しやすい条件および環境を、人間工学的見地からモニター実験・検証した。この調査・検証をもとに具体的に情報入力(意思伝達)装置として使用される場合の最適操作方法を探り、そのデザインと環境の草案を作成した。
■参画機関 札幌市立高等専門学校
■研究課題 C-5
人間中心設計プロセスに基づく情報機器デザイン研究
■研究目的 屋外シーンにおけるケーススタディを設定し、人間中心設計プロセスの試行、情報機器デザインの研究を行なう。具体的なソリューション提案へのステップアップ進することが可能になった。その過程で得られた基礎データを収集し、フィードバックすることで、さらにユーザビリティにすぐれた人間中心設計プロセスの創出に寄与することを目指す。
■参画機関 北海道東海大学
■特許一覧(出願・申請中含む)
現在検討中
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