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研究プロジェクト

平成17年度共同研究テーマ
健康福祉向け成人病(動脈硬化)予防システムの研究開発
上瀧 實 ■研究代表
北海道東海大学教授

上瀧 實

■参画機関
北海道東海大学、インフォネット(株)、(株)ケイオス、(株)NTTドコモ北海道
研究成果を活用したコンシューマ向け医療機器の開発
 本プロジェクトでは、地場企業との共同研究による実用的な製品の開発・事業化に寄与することを目指し、2004年度までに空間情報活用型汎用プラットフォームの開発に取り組んできた。2005年度は、これらの成果をもとに、より実用性に特化した研究分野へと展開させている。主な研究テーマは、空間情報活用型汎用プラットフォームの中核となっているセンシング技術と通信ネットワーク技術を活用した医療福祉向け機器(加圧脈波計)の開発である。加圧脈波計は、動脈硬化など成人病の予防・病後管理に効果的とされる医療機器である。現在普及している加速度脈波計は1台20〜60万円と高額であるが、本研究で開発する加圧脈波計は市販の家庭用血圧計と同程度の大きさ・価格が実現できると考えられている。さらに、携帯電話を利用した通信ネットワークで患者と医療機関(医師)を結び、脈波データの共有と経過観察が行なえる仕組みを構築し、コンシューマ向けと医科向けの2種類のビジネスモデルを想定している。

開発と事業化を並行して推進する体制づくり
 開発に当たっては、北海道東海大学と地場企業数社および医療機関が結集し、技術的な研究開発を行なう開発プロジェクトと製品化・ビジネス化を推進する事業化研究プロジェクトを立ち上げ、開発と事業化を並行して進める体制を築いた。2003年度から本プロジェクトに参画しているインフォネット(株)がプロジェクトマネージャとしての役割を担い、技術開発と事業化のマネジメントを行なっている。2005年度は加圧脈波計のプロトタイプを作成し、データ通信ユニット、家庭用および医科向けのソフトウェア開発を完了した。2006年度は、コンシューマ向け商品を目指した改善・改良とユーザビリティ評価を行ない、同時に医療機関と連携した臨床テスト・機能評価を行なう。家庭向け機器の販売チャネルとしては医療器具メーカーへのOEM供給を想定し、医療機器申請の準備とOEM提携先の検討を行なっていく。

研究成果報告
■成果の概要
(1)加圧脈波計
試作機第1号完成
加圧脈波計は血圧測定と同様に腕に最低血圧を掛けて取得するが、検査方式の正確さは眼底所見や加速度脈波計と遜色がないことが証明されている。
脈波の波形は加齢に相応して一定の変化を示しており、広範な年齢層にわたるデータベースに基づき、動脈硬化(動脈壁の弾力性)の進行度を年齢に応じて相対的に評価する方法を確立。動脈硬化の診断を行うことができる。
このモデルではまず指プローブより脈波検出回路を経由してCPU基板へとデータを取り込む。データの取り込みサンプリングは1msとし、出来るだけ多くの計測点を取り込む。データ取り込みの終了時に取り込んであった1msごとのデータの波形から特異点を抽出し、動脈硬化判断する判定値を算出。次に腕帯の加圧制御を行い、アナログ回路を経由して最高、最低血圧を取得できるようにする。これらを組み合わせて加圧時の脈波データを取得し、動脈硬化を判断するための判定値を算出する。
■成果の概要
(2)データ通信ユニット
高齢者向携帯電話端末のデータ通信ユニット完成
本体側のUART出力をRS232Cの規格に変換するもの(PC用)。FOMAインターフェースであるUSB規格でi-modeを使ってサーバへとデータを送信するもの(携帯電話端末用)。
■成果の概要
(3)結果表示用ソフトウェア(家庭向け)
高齢者向携帯電話端末からの表示ソフトウェア完成
■成果の概要
(4)経過観察用ソフトウェア(医科向け)
インターネット網を利用したWeb版経過観察ソフトウェア完成
脈波データサーバは、脈波計から送られてきた被験者の脈波データをデータベースに保管し、被験者端末・医療機関端末のWeb ブラウザの要求によって、PHP,JavaServlet,JSP によって脈波データの抽出・表示データ生成等の処理を行うもの。
企 業 〜 Interview 〜
研究成果が地場企業の技術・アイディアと融合した事業モデル
佐々木 身智子 氏 インフォネット株式会社 執行役員

佐々木 身智子 氏

 本研究は、基板設計・筐体デザインからソフトウェア開発、通信システム構築などをすべて地場企業で行ない、ユーザ情報の提供や臨床テストには道内医療機関の協力を得ています。コンシューマ向け製品の開発・事業化を地場企業の集合体で手がけることができるというのは、「ITモノづくり」を志向する札幌ITカロッツェリア構想において有意義なモデルケースになると思います。

 当社は現在、開発プロジェクトと事業化推進プロジェクトにおけるマネジメントを担当しています。技術開発と事業化推進の両面から医療機器開発に関わることができたのは、当社にとって貴重な経験となっています。加圧脈波計は、基板設計・筐体デザインを担当する(株)ケイオスが以前から温めていたアイディアですが、当社が参画していた空間情報活用型汎用プラットフォームの研究開発から生まれた技術・アイディアと融合し、脈波計本体だけでなく携帯電話を利用したネットワークシステムへと発展しました。個々の技術・アイディアを組み合わせることでより実用性・利便性の高い商品へと進化し、市場性の高いビジネスモデルが描けたことは非常に大きな成果だと思います。また、あまり接点を持つことができなかった組込系分野・医療機器分野の企業とつながりが持てたことも、当社の事業領域を広げるきっかけとなりました。

 大学や研究機関が持っているシーズには多種多様なものがあり、研究成果をそのまま事業化するとなると、かなり規模の大きなビジネスになる場合もあります。しかし、今回のように成果の一部分を切り取り、地場企業の持っている技術やアイディアと融合させることで、まったく新しい製品・サービスが生まれる可能性もあります。比較的規模の小さなビジネスサイズであれば中小企業にも参加しやすく、より多彩なビジネスマッチングが可能になるのではないでしょうか。今回の事業がモデルケースとなり、さまざまな分野の地場企業を取り込んだ柔軟性のあるクラスターが形成できれば、札幌のITモノづくりもより大きな広がりが持てるのではないかと思います。
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